長野県主催のハンター養成学校の最終回「ジビエの基礎知識とシカの解体」に参加してきました。
これまで計4回、わなの掛け方や、銃猟の方法などを学んできましたがフィナーレを飾る最終回は、ちょっと気合が入っていました。
テーマはずばり、「ジビエと解体」。
狩猟で捕獲した獲物を解体し、食卓に提供するというまさにハンティングの最終章。
この日は、実際に猟友会の人が捕獲したシカを解体するとのことで、ちょっとドキドキします。が、その前に、座学で「ジビエについての基礎知識」「ジビエを扱う上でのガイドライン」について学びます。これまでのハンター学校では、残念ながら、座学はかなり退屈(教科書をそのまま読むだけ)でしたが、この日は講師である県職員のみなさんも気合が入っていたのか、とても興味深いプレゼンが続き、勉強になりました。
下の写真は、鹿肉の部位を説明しているところ。背ロースや、もも肉がおいしいそうです。(それ以外の部分はあまり活用されていないとも)
そのほか、印象に残ったこととしては、
・信州でジビエのガイドラインがあるのは「鹿」のみ(国は「イノシシ」も)
・捕獲してすぐに血抜きしないと臭くなる(内臓の処理も)
・シカの生肉はE型肝炎になるおそれがあるので食べちゃダメ
などといったことです。
座学が終わったら、いよいよ本番。
外に出て、鹿の解体です。
ここからは、ちょっと解体の生々しい写真が続くので
苦手な人は、ご注意を。
(血や、刃物傷が嫌いな人は見ないほうが良いと思います)
解体の実際をお伝えするため、当ブログではそのまま写真掲載します。
解体するシカは、講師を務める上伊那猟友会のみなさんがこの日の朝、仕留めたシカです。
まずは、四肢のひざ下を切り落とします。間接あたりにナイフで切れ目を入れ、逆間接方向に力を入れるとポキッと折れます。(実際、自分でやってみると、簡単に折れずなかなか難しかったです)
次に解体しやすいように、上から吊るします。重さは50キロ程度とのことですが、
これが重い!いざ山中でシカを仕留めても輸送が大変というのが良くわかります。
次にぶらさげたシカの肛門回りを切り裂いて、睾丸を引き出し、内容物が飛び出ないように肛門を縛ります。内容物が肉についてしまうと汚染されるため、売り物にならないそうです。
そして、反対側の出口にあたる食道をしばります。
首辺りを切り裂き、そこから食道を引っ張り出します。
これで、両側がしまりました。
続いて、腹から内臓を取り出します。
このあたりの手順は、規模は違いますが、魚をさばく時に似ています。
もちろん、同じ生き物なので、共通しているのは当たり前なのですが
内臓の大きさもかなりのものです。持ち帰って解体する場合は
ちょっとどうやって処理して良いものか悩みそうです。
内臓を取り除いたら、次は皮をはぎます。
アメリカ製の道具で、はさんで引っ張ります。
シカの皮はそのまま捨てられることも多いそうですが
できれば鹿革として活用したいですよね。
県内でも、皮を活用して名産品づくりを目指す若手狩猟者も
いるようなので、そういった活動を応援したいものです。
皮をはいだら、いよいよ肉の切り分けです。
ここまで来ると、ようやく私達になじみのある「肉」に近づいてきました。
普段スーパーで見ている「肉」って、本当に最終形なんだなと
つくづく感じます。そこに至るまで、誰がどのように手を加えてくれているのか
知ることはとても大切だと思います。
肉は、いきなりパック詰めで産まれてくるわけではない。
当たり前ですが、そのことを実感する機会は
日常生活の中では意外と、少ないのではないでしょうか。
高級部位の背ロースを切り分けているところ。
講師のデモンストレーションのあと
パチョ子も、背ロースを切り取る作業を体験してみました。
骨から肉を切り離す作業自体は、昔住んでいたアフリカで
体験したことはありますが、これだけイキの良い動物にナイフを
入れて切り取ったのは初めてです。
率直な感想は、
「肉が思いのほか、温かい」
朝、命を絶たれたシカの肉が
昼過ぎになっても
これだけ温かいということを知りませんでした。
確かに、そこに宿っていた命のぬくもり
凍える日、猟師は、肉の中に手をさし入れて
手を温めることがあるそうです。
そこに体温があること
よく考えれば当たり前だけど、
知らなかったそのことを
この日、体感することができて良かったです
シカの解体というテクニックも
大事かも知れませんが、
それ以上に
「いのちをいただく」ことの重さを
実感できたことが
今回の何よりの学びでした
これから現場に出て、きっとたくさんの動物を
殺生していくことになるでしょうが(植物も含め)
自分たちが別の生き物の
「いのちを奪って、生かされている」
ことを忘れずに
生きていきたいと思います。
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